Project Story
プロジェクトストーリー

「住んでからもお客様に幸せを届ける」をテーマに、東京の勝どき、晴海、月島、豊洲などの湾岸エリアの価値を高める三井不動産レジデンシャルのプロジェクト「WANGAN ACTION」。食やスポーツなどを通じて、住民や訪れる人の豊かな生活を支えるイベントや企画を行っている。2013年の発足当初からプロジェクトに携わる市場開発部の宮本佳長と、日本最大規模の都市型マルシェ「太陽のマルシェ」を担当するプロジェクト推進部の青柳太士、スポーツ関連の企画を手がけるプロジェクト推進部の松浦佳也乃の3名に、WANGAN ACTIONの事業に込める想いや今後の展望について聞いた。

episode.01 WANGAN ACTIONは価値が生まれる起爆剤
湾岸エリアをずっと住み続けたい街に

WANGAN ACTIONが始まった経緯や背景から教えてください。

宮本勝どき、晴海、月島、豊洲などの湾岸エリアはもともと工場や造船所があった場所で、三井不動産グループが開発を続けてきた地区です。プロジェクトが始まった2013年は、大規模な新規分譲マンションの販売が予定されており、また、将来的にすまいが増え続けていくことも見込まれていました。そのエリアをどう認知していただき、さらには住んで、その後も住み続けてもらえるかという課題から、湾岸エリアの価値を高めるための取り組みがスタートしました。

青柳2013年は、東日本大震災の翌々年。当時は震災後の地域住民間のコミュニティの希薄化や、居住エリアの生活利便性の不足などが懸念されていました。三井不動産レジデンシャルとして、住宅を供給するだけではなく、住民たちが自らコミュニティを作るきっかけを提供したいという想いから、「太陽のマルシェ」を始めたんです。太陽のマルシェを筆頭に、様々な湾岸エリアの取り組みを進めていく中で、WANGAN ACTIONというプロジェクト名が生まれました。

宮本プロジェクトの第一弾が太陽のマルシェだったんです。WANGAN ACTIONの特徴は、三井不動産グループだけではなく、多くの人たちに参加していただくプロジェクトということ。様々な事業者の方と一緒に取り組むからこそ、この街を訪れたい、ずっと住み続けたいと思ってもらえる価値を継続的に届けられると思っています。WANGAN ACTIONは、地域に住み続けてきた方や新たに住み移ってきた方などが集まってアイディアを発していく場所であり続けることで、そのエリアに住む人に、未来に向かった豊かなくらしを届けていきたいという想いがあるんです。

episode.02 事業者と行政、住民が一緒に作る「太陽のマルシェ」
新旧住民を交えた地域のコミュニティ形成に寄与

青柳さんが担当されている「太陽のマルシェ」とは、どんなイベントですか?

青柳太陽のマルシェは2013年9月に始まったイベントで、中央区勝どきの公園で毎月第二土日に開催しています。毎月約100店舗の出店者と最大1万5000~6000人以上の方が来場する最大規模の都市型マルシェです。湾岸エリア、特に勝どきの地域活性化と、新旧住民の融合を図ることが主な目的。多くの人々が訪れるマルシェという形式によって、コミュニティ形成の役割を果たすという意図がありました。今年で7年目となりますが、地元町会や行政、事業者、出店者の農家の方々など多くの事業関係者が一緒に作っていることが、このプロジェクトの大きな特徴です。

青柳さんが担当をされてから新しく始めた取り組みはありますか?

青柳地域住民の方から、休日の夜に飲食してみんなで集まれる場所がないという声があったんです。そこで2年前、新たな試みとしてオープン時間を夜間まで延ばしたナイトマルシェを開催しました。当日は多くの地域住民が集まり、子どもの学校が同じ家族の方々などが一緒に飲食を楽しんでくださっている光景は、今でも目に焼き付いています。参加者の声を大切にした地域に根差したイベントであるというこだわりは、評価していただけている点だと思いますね。

宮本青柳は2017年入社だけど、入社時代は太陽のマルシェをはじめ、WANGAN ACTIONの取組みを見て、どういう風に感じていたの?

青柳太陽のマルシェは、すごく好きなイベントでしたね。WANGAN ACTIONや他の事業を見て、入社前から、三井不動産レジデンシャルはすまいの提供だけでなく街の賑わい作りに力を入れているというイメージを持っていたんです。入社するとそのイメージ通りでした。太陽のマルシェを担当してからは、住民の方が太陽のマルシェを通じてコミュニティを形成しているということをより強く実感しましたね。以前から地元に住んでいる方たちと新しい住民をつなぐという意味でも、太陽のマルシェは大きく役割を果たしていますね。

松浦私は2019年入社ですけど、就活中は「すまいとくらしの未来へ」という三井不動産レジデンシャルの掲げているビジョンに魅力を感じましたね。特に、くらしの部分に対して力を入れて取り組んでいる会社だと思っていました。このプロジェクトに携わって2年弱ですが、イベントで見る参加者の方の顔を見て、本当にその場を楽しんでくださっていると実感するシーンが何回もありました。くらしというところにフォーカスして、それを住民の方に評価してもらえるプロジェクトに関われていることは、すごくやりがいがありますね。

今、太陽のマルシェはどういう形で開催しているのでしょうか?

青柳感染症予防の観点から開催を一時中止していたのですが、11月に再開しました(12月以降は開催中止)。その時、来場者や生産者の方々の表情を見て感じたのが、多くの方が再開を待っていてくださったということ。開催の形態には制限もありましたが、生産者さんたちが勝どきの街に来て、地元の方に買ってもらう場を作れたことは本当によかったと思います。今、オンラインで何でも買える時代ですが、人が集まれる場所が必要とされているんだということは強く感じましたね。今後も開催のスタイルについては熟考しつつ、持続可能なイベントにしていきたいと思います。

episode.03 世代を超えてつながれるのがスポーツの魅力
スポーツ体験を通じて魅力ある街づくりを実現

松浦さんが担当されているプロジェクトの魅力を教えてください。

松浦私はスポーツを軸にしたプロジェクトを担当しています。例えば、湾岸エリアに居住する子どもたちが一流のアスリートからスポーツを学べる教室「スポーツアカデミー」です。スポーツアカデミーは、東京2020オリンピック・パラリンピック開催の中心地として機運の高まる湾岸エリアで、子どもたちがスポーツに触れる機会を創出して、スポーツによる地域コミュニティの活性化を目指すという目的でスタートしました。陸上、体操などの競技だけではなく、パラスポーツも体験できる豊富なプログラムが特徴で昨年は地域の小学校の授業の時間をお借りしてウィルチェアーラグビーを子どもたちに教えました。Nikeとコラボレーションした新豊洲のスポーツパーク「TOKYO SPORT PLAYGROUND」や、音楽とスポーツの融合をテーマにした「MIFA Football Park」、がん患者とその家族や友人などが気軽に訪れて相談できる「マギーズ東京」なども担当しています。

TOKYO SPORT PLAYGROUNDは、どのような施設ですか?

松浦TOKYO SPORT PLAYGROUNDのテーマは、「インクルーシブデザイン」と「サステナブル」。様々な人にとっての使いやすさや持続可能な社会を目指す取り組みにこだわった施設で、スケートボードプラザやバスケットボールコート、ランニングのトラックなどがあります。10月にオープンしてから、平日だと1日100~150人、休日は300~500人の方に来場していただけるなど広く認知いただいています。スポーツは年齢や国籍、性別などに関わらず、共通言語としてコミュニケーションをはかれる貴重なツール。湾岸エリアに住んでいる方が、スポーツでつながれる場所を提供したいという想いで運営しています。

松浦さんが、WANGAN ACTIONのスポーツ関連のプロジェクトを担当する中でこだわっていることは何ですか?

松浦子どもたちが体を動かすことを楽しめる場所にしたいという想いは強いですね。TOKYO SPORT PLAYGROUNDでは、やってはいけないことのルールを極力減らそうとしています。子どもたちが自由に、その場にあるものを使ってどうやって楽しもうか考えながら遊ぶことをサポートできる施設を目指しています。管理する側としては、禁止事項を減らすほど運営が大変になるので難しいところなのですが(笑)。禁止事項を決め過ぎてしまうと子どもたちにとっては面白くなくなってしまうし、施設としての魅力も減ってしまうので、そこは工夫していますね。

松浦さんがプロジェクトに関わる中で、大変だったことや苦労したことは何ですか?

松浦TOKYO SPORT PLAYGROUNDの運営については、新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。予定していたオープン時期をずらしたり、事業期間自体を大幅に変更したりと、一筋縄ではいかないことが多々ありました。ただ、結果的には、一緒に事業を進めているNikeの担当者の方々とも十分な議論ができたため、コンセプトをより明確化でき、施設の運営方針も確立することができましたね。

「ザ・コーポレートゲームズ東京 アジアパシフィック」はどんなイベントですか?

宮本コーポレートゲームズは、2014年から1年に1回開催していたマルチスポーツフェスティバルです。スポーツを通じて湾岸エリアの魅力を日本から世界に発信していきたいという想いで、2019年まで6年連続で開催してきました。このイベントの特徴は、「誰もが楽しめる場」というコンセプト。健常者や障がい者を区別なく、10種目以上の競技種目から好きな種目を選び同じルールで対戦できます。参加条件は、8歳~120歳であることと、参加チームごとにユニフォームをそろえること。湾岸エリアの地域の方に限らず、企業・団体など様々な形態でご参加いただいている大会です。地域コミュニティの活性化だけでなく、企業・団体のチームビルディングや健康経営、運動習慣をつけて健康寿命を延ばすという社会課題にも寄与していると考えております。

episode.04 住民の笑顔からコミュニティ形成の価値を実感
WANGAN ACTIONを世界のニューノーマルに

最後に、皆さんが今後取り組みたいことや、近い将来の夢を教えてください。

青柳私が担当する「太陽のマルシェ」が開催されている勝どきエリアは、タワーマンションが多くて人間関係が無機質だという印象を持たれることもあります。ただ、太陽のマルシェに行くと、地元の方や外から来た方も含めてすごく賑わっていて、人情味が溢れるエリアだとわかるんです。とても血の通った街だといつも感じますね。今は私自身の仕事を通じて、人々の交流が生まれることでくらしが豊かになっていくということを強く実感しています。今後、withコロナの時代ですが、感染症予防の対策は行いながら、人々がコミュニティの中で豊かなくらしを作っていける取り組みを続けていきたいです。

松浦イベントの参加者の方々の笑顔を見ると、コミュニティ形成が街にとっていかに価値があるのかということを実感しますよね。特に地域の子供たちが笑顔でスポーツを楽しんでいる様子を見ると、スポーツを楽しめる環境は、くらしを豊かで明るいものにしてくれると確信します。スポーツアカデミー、TOKYO SPORT PLAYGROUNDともに東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にスタートしたプロジェクトではありますが、オリンピックをレガシーとして、必要に応じて形を変えながら、これからも住民の方がスポーツを楽しめる場を作り続けたいです。子どもたちが、自分の育ったエリアにはこういうコミュニティがあって、仲間とスポーツを楽しんだいい街だったなと思ってもらえるような街を作りたいですね。

宮本私は、WANGAN ACTIONを湾岸エリアの取り組みだけにとどまらず、日本全体に広げていきたいという思いがあります。海外事業にも、我々のやってきた取り組みをひとつのプロセスとして加えることで大きな輪になっていったらいいなと感じていますね。今、我々は、オンラインとオフラインの狭間の環境にいます。どちらも良さがありますが、リアルに人と会うからこそ広がっていくものがあると思うんです。だからこそ、WANGAN ACTIONの取り組みを通じて人とのつながりを増やすことで、三井不動産グループだけではなく、みんなで進める取り組みとして広げていきたいです。街づくりを推進していく中でWANGAN ACTIONで取り組んできた仕組みを三井不動産レジデンシャルとしてのスタンダードにしていきたいと思っています。

青柳湾岸エリアにこだわらずに広げていきたいということは、チームのメンバーでもよく話していますよね。当初のビジョンに立ち返ると、WANGAN ACTIONの目的は湾岸エリアのブランドアップ。今、湾岸エリアは住みたい街の上位に来ていますし、訪れたいと思ってもらう仕掛け作りのノウハウは確立できました。三井が面白いことに取り組んでるからこの街に住みたいと思ってもらう、その取り組みのスキームを今後もっと広げたいです。

宮本三井不動産レジデンシャルが一番挑戦的な会社だって思われたいんですよね。今、SDGsの観点からも、サステナブルな取り組みをしていない企業・団体は世の中がNOをつきつけています。コロナ禍において、人がモノやコトを求める基準も変わったと感じています。三井不動産レジデンシャルは、社会情勢や家族環境の変化など、いろいろなシーンに応じて価値を生み出せる組織体です。WANGAN ACTIONもそのひとつ。そんな取り組みが増えれば、三井不動産レジデンシャルがもっと挑戦的な会社になれるはずです。そうすれば、求めてくれる地域の人も増えるし、入社したいと思う人も増えてくる。そういう取り組みを、青柳や松浦や、これからプロジェクトに加わってくれる人たちが、一緒に進めてほしいと思っていますね。

project story for
WANGAN ACTION

湾岸エリアのブランドアップのための取り組みは、2012年頃からスタートしている。2013年に入ると、それまで独自の取り組みを、それぞれの部署において推進してきたプロジェクト推進部、市場開発部、都市開発二部が連携し、定例の協議の場を持つようになった。さらに2014年9月には、これらの取り組みに、「WANGAN ACTION」という言葉を冠して、湾岸エリアの活性化のために、多彩なプロジェクトを推進していく姿勢を宣言している。「WANGAN ACTION」とは、湾岸エリアを盛り上げ、さまざまなアクションを行う姿勢を示す言葉である。
そして、これからも新たなアクションが湾岸エリアに生まれ、地域のコミュニティとともに育ちながら、物語はさらに多くの登場人物を加えて綴られていく。