すまい選びのお役立ち情報
すまいの基礎知識〈資金計画篇〉vol.5
住宅ローンのお得な制度と活用法を学びましょう
すまい購入を具体的に考え始めるとき、気になるのは予算のこと。同世代の友達や、同僚のマイホームを見て「同じくらいの収入なのに、広くて設備も整った家を購入しているなあ」と思ったことがあるかもしれません。これは、賢い資金計画だけでなく、住宅ローンのお得な制度利用など、さまざまな“住宅購入のテクニック”を上手に使いこなしているからかもしれません。
他の方々が想定の予算より、グレードの高いマンションを買える“しくみ”について、ファイナンシャルプランナーの風呂内 亜矢先生に教えていただきました。

風呂内 亜矢先生 プロフィール

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
CFP®認定者、宅地建物取引士
2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信中。
著書『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』、『デキる女は「抜け目」ない』など。

例えば自分が年収600万円で、同じくらいの収入の友人が3LDKの新築マンションを購入していたら「自分でも買えるのかな?」と期待が膨らむと思います。しかし、そもそもどれくらいの金額が、自分にとってゆとりあるラインなのでしょうか。

まずは大まかな「住宅ローンのゆとりライン」を知る

——住宅を購入する場合、住宅ローンの借入額の目安になる数字などはありますか。

安心して住宅ローンを借りるために目安になるポイントは3つあります。あくまでも参考ですが、1つ目は住宅ローンの借入額は年収の約5倍程度を見積もること、2つ目は住居費を手取り収入の3割程度と想定すること、3つ目は現在の生活との差額を考えること、という視点です。

【ポイント1】住宅ローンの借入額の目安

——1つ目の「年収5倍程度の住宅ローン」だと、最新の3LDKの物件購入には少し厳しいかなと思うのですが、広い家を買ってもゆとりのある方には、何かテクニックなどがあるのでしょうか。

住宅ローンを借りる場合には審査がありますが、金融機関の審査では「返済ができるか」という観点で承認が下ります。物件や勤め先、金融機関の見方によって変わりますが、年収の7~8倍程度の借入に対して審査の承認が下りることも多いです。

消費税率10%への引き上げが2019年10月からとなり、消費税が引き上げられることを前提にしていた、いくつかの税制措置も延長されています。

今回のケースであれば、年収600万円を想定しているため、住宅ローンの借入額は3,000万円程度にしておきたいということになりますね。ですが、購入したい物件の額と開きがあるようであれば、その差額にあたる金額が頭金として準備したい理想の金額や、親からの支援を検討したい金額となります。そこで、「親からの支援」について、活用したい制度があります。

住宅購入の頭金については、贈与を受けられる非課税措置の延長の影響も大きいでしょう。従来であれば2017年9月までの住宅購入に関する親などからの贈与であれば700万円(良質な住宅家屋であれば1,200万円)を非課税で受けることができていました。しかし、この制度が延長になり、2020年3月までの贈与が対象となっています。

【ポイント2】住居費を考える時は住宅ローン減税も確認

——2つ目のポイントの「住居費を手取り収入の3割程度」というのをもう少し詳しく教えてください。

住宅を購入する際に必要になるお金は住宅ローンの返済だけではなく、マンションであれば管理費・修繕積立金といった費用も必要です。そうした費用も含めて「住居費を手取り収入の3割にする」というのも1つの目安になります。
例えば、年収600万円の場合、手取り収入は約480万円(手取り収入をざっくりと知るには額面収入の約8割)なので、住宅ローン以外の費用も含めて年間144万円(480万円×30%)に抑えられると返済しやすいという一般的な見解があります。

住宅ローンシミュレーションを提供するサイトの中には月々の支払いを指定して借入可能額を試算する機能があるものもあります。シミュレーションサイトを使って、自分の返済パターンを色々と計算してみるのがおすすめです。

——理想の物件のために、「3割の堅実ライン」より、もう少し予算をあげたい場合、参考になる情報はありますか。

「支払う利息より減税で戻ってくる金額の方が多くなることも」住宅ローン減税制度

現在、住宅ローンの利率は歴史的な低水準を推移しています。住宅を購入する場合の負担は物件価格や頭金だけで比較するのではなく、金利も含めた比較をしましょう。例えば同じ金額の物件を購入する場合でも、金利が高い時には返済が大変に感じるかもしれませんが、金利が低ければ手が届く可能性もあります。
住宅ローンを使って家を購入する場合、住宅ローン減税を受けられます。年末のローン残高の1%が10年間、所得税や住民税から軽減されます。住宅ローンの借入金利が1%未満であれば、借入を行うことで支払う利息より減税で戻ってくる金額の方が多くなることも。
早めに情報を集め、有利な時期にマイホームを検討したいところです。

【ポイント3】新しいすまいで起こる家計の変化

——3つ目の「現在の生活との差額を考える」とは、具体的にどのようなことでしょうか。

今現在支払っている住居費と、物件を購入してからの生活でどのくらいお金の動きが変わるか考えてみるということです。
例えば年収600万円で、今現在、共益費込みで家賃9万円のところに住んでいると仮定します。月々の住居費は9万円以外にかかっていません。この人が月々9万円の住宅ローンですまいを購入すると、マンションの場合は、ローンの他に管理費や修繕費を支払っていくことになります。

単純に見ると「毎月の負担が増える」と考えてしまいますが、支払いが完了すれば自分の資産として手元に残りますし、例えば立地の良い物件を選んで将来的に資産運用する、という方法もあります。また実際には現在支払っている家賃の方が、毎月のローン額より高い、という方もいるのではないでしょうか。同じグレードのすまいでも、賃貸より購入した方が住居費が結果安くなる、というケースもあります。
現在、実際に支払っている金額と比較して、差額が多いと感じるばかりでなく「意外と返せる」「負担が軽い」と感じられるケースもあるかもしれません。

——憧れのエリアに欲しいサイズの物件を購入したい場合はどうしたらいいでしょうか。

多くの人が安心して求めやすい物件を金額中心の観点でお伝えする場合、これまで挙げた3つの目安を参考にしていただきたいところです。しかし、実際にはこの目安よりも大きな金額の物件を購入しているご家庭が多い様子も目にしています。どういった背景があるのか、住宅購入で減る家計負担を挙げて考えてみましょう。

住宅購入で、保険料が変わる

現在加入している保険契約の中には、物件を購入することで得られる保険効果と重複している部分もあるかもしれません。例えば個人年金保険に月1万円、生命保険(終身保険100万円・定期保険2,000万円など)に月1万円支払っているとしたら、生命保険の月1万円は解約や減額を検討できるかもしれません。

住宅ローンで自宅を購入する場合、借入を行った方に万が一のことが起こった場合、保険金がローンで完済される「団体信用生命保険」にも加入することが多いです。保険料が金利に含まれていることも多いため、そうしたケースでは「ローン支払い義務のない自宅が残っても本当に必要な保険金」を考えた上で保険内容を見直すと、保険料の家計負担が減る可能性があります。

「職場や、よく出かける場所に近い立地」で交通費削減

休日のお出かけや買い物で電車を利用するなど、家族の月の交通費は意外とかさむものです。都心や、よく行く場所に近い立地のすまいを購入することで、交通費などにも変化があるかもしれません。通常の勤務にまつわる定期代は会社の支給で家計に変化はないかもしれませんが、終電を逃した時のタクシー代や通学定期、週末のレジャーに関わる現在の交通費などを考えると、家計が楽になる費用もありそうです。

こうした純粋な住居費以外の費用の変化も細かく考えていくと、3つの目安だけで必ずしも予算が限定されない場合もあるでしょう。

自宅を買うことで得られる喜びがずっと続くよう、無理のない資金契約を立てて進められると良いと思います。

——ありがとうございました。

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