すまい選びのお役立ち情報
すまいの基礎知識〈資金計画篇〉vol.4

マイホーム購入前に知っておきたい ”世帯別”マネーテクニックとは

人生における大きな買い物、マイホーム購入。心が高鳴るイベントですが、「どれくらいのお金がかかるのか」「家計にどれほどの負担がかかるのか」など、お金について気になるところだと思います。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの榎本充さんにお話をお伺いし、購入前に覚えておきたい「マネーテクニック」をご紹介します。

榎本 充さん プロフィール(※取材当時)

アクサ生命保険株式会社 中京中央FA支社
ファイナンシャルプラン アドバイザー
お客様との信頼関係を大切に、“お金に関するかかりつけ医”として、ライフプランに合わせた適切なアドバイスを行う。前職では住宅販売営業を経験。ファイナンシャルプランナーのほか、住宅ローンアドバイザーや宅地建物取引士の資格も所有。

住宅ローンの返済計画は家族構成・ライフプランを考えて

返済金額の設定の仕方を教えてください

長期にわたる住宅ローン。設定額によって生活に大きく影響する可能性もある物だけに、しっかりと考えておきたいものです。では、返済金額はどのように設定したらよいのでしょうか?

「家族構成や世帯収入によって、適切な返済金額は変わってきます。一般的に”収入の20~25%”が返済金額の目安として挙げられますが、これはあくまでも目安のひとつ。人生においてお金がかかるイベントは住宅購入だけでなく、セカンドライフに備える老後資金や、人によっては子どもの教育資金が必要となるため、住宅の支払いだけを考えてローンを組むのは危険です。

そこで重要な指標になるのが、『今後どのような人生を送るか=ライフプラン』です。結婚するのかしないのか、子どもはほしいか、もしくは何人くらいを希望するかなど、理想とする人生をイメージすることで、今後必要となる総費用を把握することができます。おおまかでもよいので、まずは将来の設計図をつくったうえで、購入する物件、そして返済金額を設定してみましょう」(榎本さん、以下同)

単身・子どもありの世帯は返済額を低めに設定する傾向

それぞれの家計状況は、家族構成によって異なります。住宅ローンの月々の返済額では、次のような特徴があります。

単身:1人暮らしや実家暮らしなど比較的お金に余裕があることが特徴。年収が増えてきた30代では、結婚も視野に入れて貯蓄も確保しながら、可能な範囲で返済するという傾向があります。

夫婦のみ:共働きをしている世帯もあり、2つの収入源があることから返済額を多めに設定しているケースが多くなります。ただし、将来の出産・育児を見据えて無理のない返済額に設定して、子どもありの世代と同じ程度の低めに設定するケースもあるでしょう。

子どもあり:子育ての負担にならないよう、返済額は低く設定する家庭が多い傾向。今後必要となる教育費・進学費用などの教育費を想定し、無理のない返済額に設定する必要があります。

「頭金」は世帯構成によって重要度に差があり

頭金はいくらぐらい必要になりますか

頭金の額は、購入資金計画を検討するための第一歩。全額ローンで購入するという選択肢もありますが、一般的に頭金はどのくらい準備しておけば良いのでしょうか。

「『物件金額のおよそ20%』は頭金として用意しておきたいところですが、貯蓄がないという方もいるかと思います。これから住宅購入に向けて貯蓄を始めるのもひとつの手段ですが、現在の低金利時代では貯蓄している間に金利が上がってしまう可能性もあるので、早めにローンを組んでしまうことも一策です。
データを見ると、夫婦のみの世帯では、共働きを想定して頭金に頼らずローン重視で購入するケースが目立ちます。体力がある若いうちに貯蓄を増やし、繰り上げ返済に充てることは効率的な方法ですが、長きにわたってコンスタントに働ける保障はありません。全世帯に共通することですが、万が一のアクシデント、そして住宅購入以外のイベントに備えて、しっかり貯蓄することをおすすめします」(同)

夫婦のみ世帯は頭金ゼロも

頭金の準備については、家族構成や世帯収入によって、コツコツと貯金して頭金を用意できる場合と、そうでない場合があります。

単身:しっかりと貯蓄した上で住宅購入に望む方が多く、また両親や祖父母から支援を受けるというケースもあるかもしれません。

夫婦のみ:共働きなら「夫婦ペアローン」を利用して全額ローンという選択肢もあります。総世帯収入が高いため、毎月の返済額を多めに設定しながら、住宅ローン控除を最大限受けるということも期待できるでしょう。

子どもあり:子どもの教育資金をしっかりと確保しておきたいところ。両親や祖父母世代から資金援助を受けやすい世代でもあります。月々の返済額を低めに抑えるためにも、頭金はある程度払っておけると安心です。

マイホーム購入で終わりじゃない! 手元にキープしておきたい金額

手元に残しておくべきお金の目安はどれくらいですか

すまいは、購入したら終わりではありません。住宅ローンを返済しながらも、毎日の生活は続きます。万が一のことなども考え、すまいの購入時にはどれくらいのお金を手元に残すべきなのでしょうか。

「住宅購入後の生活費や不意の出費に備えるための予備費として、『生活費の6ヵ月分』は手元に残しておきたいところです。それだけでは不安に感じる方は、ファイナンシャルプランナーに相談するのもよいでしょう。今後キャリアアップに伴い変化する収入の推移や子どもの成長段階に応じた出費の増減などをもとに、ローン返済と日々の生活を両立させるマネープランづくりをサポートしてくれますよ。」(同)

それぞれの環境ごとに万が一の備えを

家族構成によって、手元に残せる金額は違うものです。それぞれのライフスタイルにあわせて、無理のない範囲で検討しておきましょう。

単身:結婚などのライフイベントへの備えも考えておきたいものです。特に女性の場合は、できるだけ多くの金額を手元に残すケースが多いようです。

夫婦のみ:共働きなら経済的なゆとりもあるため、手元に残しておく金額も他の世帯より多いという特徴があります。

子どもあり:子どもの養育費など、必要不可欠な出費が多い世帯。そのため、手元にお金を残すよりも、ローン返済や頭金に充てる傾向にあります。

住宅購入のように、人生における一大イベントを前にすると、ついつい、面倒なお金の計算から目を背けたくなるもの。
一度しっかりとライフプランを考えることで、無理せずお金をやりくりしていけることに気づくことができます。夢のマイホーム購入を実現するため、今回ご紹介したポイントを、ぜひ参考にしてみてください。

合わせて読みたい